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2006.09.20

確認ダイアログのデフォルトボタン

削除の確認画面でのデフォルトボタンはどちらでしょう?

少し前に SONY の HDD レコーダーを使っていて、[キャンセル] がデフォルトになっていたので非常にうっとおしかった。多くの場合において、その機種は [キャンセル] をデフォルトにする。

設計者の気持ちは分かる。取り消せない動作においては、「ファイルを戻せなんて怒られたら」と思ってしまう。デフォルトを [キャンセル] にするべきだ、という blog を見ればなるほどな、と思う。

Windows ではどうか。Explorer でファイルを選んで削除すると、[はい] がデフォルトだ。ごみ箱に行くので取り消しは効くが、ごみ箱に行かない削除の仕方 (ファイルを選んで Shift+Delete) でも [はい] がデフォルトだ。ほんとうに削除したい時にはこの方が正しい。

おそらく確認画面の意味をどう捉えるかによるのだろう。確認画面で間違い操作を防げるケースというのは実はかなり少ない。これは、確認画面を設計しているときには分からないが、日常で使っている自分を振り返る、あるいはビデオに撮影してみてみれば分かるだろう。メニューを選んだ直後に「あ、間違えた」と思った時には救える。それ以外の時には、デフォルトがどちらであろうと、もう指が操作を覚えている。デフォルトが [キャンセル] なら、削除を選んでから TAB を押して ENTER。結局救えない。確認画面が終わってから間違いに気が付くこともある。それはもう自己責任。

だいたいにおいて確認画面のメッセージは読まれない。読んでくれるなら、ウィルスはここまで拡散していない。[OK] か [はい] をクリックするか、ENTER を押すだけだ。ENTER を押す人は、デフォルトが [キャンセル] だと、いつまでたっても操作が進まない。Word 6.0 で印刷レイアウトから下書きに切り替える場合、図が表示されなくなる。「図が消えた」という文句を恐れた設計者が確認画面を入れたところ、出荷してみたら「下書きに切り替えられない」という電話が殺到した。それだけメッセージを読まずに ENTER を押す人が多い、ということだ。

もちろん操作の重要性にもよるだろう。ミサイル発射ボタンのデフォルトは [キャンセル] であってほしい。しかし設計者には、「確認画面を入れたい」「デフォルトをキャンセルにしたい」という誘惑に駆られたら、今一度レビューをしてほしい。この確認画面はほんとうにユーザーを助けるのか。自分が文句を言われないようにするためだけではないのか。レビューすれば、そのほとんどが [はい] をデフォルトにする方が正しいだろう。そしてそのほとんどにおいて確認画面は不要だろう。コスト的に可能であれば、それでも [キャンセル] を選んだ場合に、ユーザビリティや実ユーザーを訪問してどう使われているか見てみれば、自分の設計力が上がることは間違いない。

サービスを提供する側が、文句を言われるのを事前に防ぐために冗長さを追加していくのであれば、どこぞの政府と同じになってしまう。自己責任は信頼と教育によるものだと思う。ユーザーを信じ、万が一文句が来たらきちんと説明する。そして 99% のユーザーにとって正しいものを設計する。

そういう設計者が増えてほしいと切に願う。

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