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2006.08.09

メイリオ (Meiryo) の斜体

Windows Vista の新しい日本語フォント メイリオ (Meiryo) で斜体ができない、という問題はいくつかの blog に掲載されているが、どうやらこれが仕様らしい。

MS の Technical Lead である Michael S. Kaplan の blog によると、日本語の斜体は「really violates Japanese traditions」――日本語組版の伝統に反するため、斜体指定がされても斜体にならない、と言う。

MS がようやく真の太字に対応すると決めたことには大きな拍手を送りたい。真の斜体にも期待したが、コストや期間の面でできないことがあることは理解する。しかし斜体禁止、ユーザーが指定しても無視する、という仕様はいかがなものか。伝統、と言われるほど古い時代はいざ知らず、現代日本語組版において斜体の利用は常識の範囲内だ。ワープロに限らず、ビジュアル系の雑誌でも多用されている。

書体を一つ作るには、知識の深い専門家の助けが必要なのは確かだ。伝統と現実の境界で、どちらに倒すかの判断をたくさんしなければならない。80% の人が間違える誤字があったとしても、正しい字を入れる、という部分で伝統に倒すのは正しいと思う。しかし斜体禁止はやりすぎだと思う。

出荷までのあと数ヶ月内に MS がその間違いに気が付いてくれることを強く願う。真の太字は MS 社内で長く議論されながらも、一度出荷してしまったフォントの変更が互換性の面から難しく、実現までに 10 年以上もかかった。これでこのまま Meiryo が出荷されてしまえば、これを正すのにまた長い年月がかかるであろう。

追記 : こちらの Wiktionary 外来語の表記 によると、MacOS, Linux, Unix でも最近のものは和文の斜体が存在しないらしい。原因が書体の属性にあるのか、OpenType 規格にあるのか、フォントのラスタライザにあるのかは不明だが、真の斜体がない英文フォント Tahoma では擬似斜体がかかるので、どこかで日本語において斜体を禁止するよう決めたのであろう。

より広くの一般ユーザーに使われる Windows でもそれがこのまま引き継がれるとしたら、残念だ。ユーザーの希望に応えるため、アプリケーション側で斜体をかける開発がさらに行われ、アプリケーションによってできる、できないの挙動が変わってくれば、無駄な開発とユーザーの混乱、サポートコストの増加は予想されても、メリットは何も見つからない。

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